1.設計事務所に設計を依頼して、工務店で建てる

相談するだけで費用が発生するような設計事務所はないと思いますので、気になる設計事務所があれば、気軽にアポイントを取ってみて下さい。
また、完成見学会などがあれば、積極的に参加してみて下さい。(ハウスメーカーのようなしつこい営業行為はありませんので、安心して下さい。)
設計事務所という選択肢の一番の特徴は、施工する会社と監理する会社が別になることです。
施主の側に立って監理するのか、それとも施工者側に立って監理するのか。同じ「監理」でも全く別物であることを覚えておいて下さい。


例えば、直接工務店に依頼した場合においては、工務店に所属する現場監督あるいは設計士、それから工務店から外注として設計依頼を受けた設計士が監理や設計を行ないますが、そういった人たちは工務店側に不利になる(面倒な)設計や監理をしづらい立場にあります。
施主と直接、設計及び監理契約をした設計事務所だけが本当の意味で施主の立場に立って現場を見守ることができるのです。


変わった家をつくることばかりが設計事務所の仕事ではありません。(そういった設計事務所がないわけではありませんが。)
施主の意見をくみ取り、それに自分の感性をプラスして、よりよいものを何度でも根気強く提案していくのが仕事です。
営業マンのように今季のノルマのようなものはありませんので、施主が見たこと・聞いたこと・勉強したことを率直に設計士にぶつけ、対話しながらじっくりと設計を進めることができます。


工事の依頼先も、一つではありません。
施主自身が気になっている工務店や設計士が勧める工務店等を、見積金額や施工事例、会社の雰囲気等、いろいろな面から見比べて納得のいく工務店に工事をお願いしましょう。

2.工務店に設計と施工を依頼する

家族で経営している工務店もあれば、数十人規模の工務店もあります。
資本金が多ければ、あるいは社員が多ければ信頼できるのかもしれませんが、総じて社員が多いほど見積金額が高くなってきます。
ハウスメーカーのような実質40%を超える経費ということはありませんが、10%くらいで頑張るところもあれば、25%近い経費を計上するところもあります。


一概に工務店といっても、経営者が大工である会社もあれば、以前材木屋だったり建材屋だったり、あるいはハウスメーカーや設計事務所からの転職組だったりと、さまざまです。
それぞれ、「腕がいい」とか、「いい材料を使う」とか、「設計力がある」など工務店の数だけ特徴があります。
ハウスメーカーのような大々的な宣伝やモデルハウスがあるわけではありませんので、なかなか自分にあった工務店を見つけ出すことは難しいのが現実です。
とっかかりは口コミや知人の紹介、工務店主催の見学会での印象から判断して、問い合わせをすることになるでしょう。


専属の営業マンがいるところもあれば、社長自らが営業しているところもありますが、どこも地元に密着した会社が多いため、メンテナンスもこまめに対応してくれます。


ただ、 設計者が工務店に所属しているため、施主のためになるようなことでも、会社の利益に合わないようなことはなかなか提案ができづらい傾向にあり、本当の意味での自由設計ではない場合もあります。

3.フランチャイズメーカーに設計と施工を依頼する

技術力を売りにしているフランチャイズもあれば、ローコストだけを売りにしているフランチャイズもあります。


「ソーラーサーキット」や「OMソーラー」など技術だけを提供しているフランチャイズに加盟している工務店の住宅は、そういった技術的な部分に関わらない範囲においては基本的には自由設計です。
自社で設計する場合もあれば、外注の設計士に依頼する場合もあります。上記の工務店と特徴は同じですが、オプションとしての技術的なプラスアルファがあるということです。
また、フランチャイズのバックアップによる宣伝効果により、地元の工務店より目にする機会、耳にする機会が多いでしょう。


一方、ローコストを売りにしているフランチャイズに加盟している工務店のつくる家においては、フランチャイズの本部が用意した標準プランの中から選べば、価格設定はかなり割安です。
だからといって広告に掲載されている価格に安易にとびついてはいけません。
コストを下げるのと同時に品質を下げたのでは将来的に高い買い物になってしまいます。
表示価格を抑えるためのいろいろなからくりもありますので、慎重に吟味して下さい。


ローコスト系の工務店では、営業マンも職人も頻繁に入れ替わります。伝達事項をきっちりと文書として残しておくようにしましょう。

4.ハウスメーカーに設計と施工を依頼する

銀行の借り入れから、仮住まい探しなど、面倒なことは一切合切お任せしたい。
そしてメーカー側の提案する標準仕様で満足できるという方にはぴったりの依頼先です。


ただし、扉を風通しのよい引き戸にしたり、自然素材を使ったり、あるいはモデルハウスのイメージを引きずってしまうと、オプションのオンパレードとなって、設計事務所に設計監理してもらった住宅よりもずっと割高になってしまいます。
見積書は工務店のように材料を一つひとつ積み上げたモノでないため、価格が適正なのかどうか判断できないようになっています。


大手のハウスメーカーだからといって、現場で実際に施工するのは、地元の下請け工務店です。
言い方は悪いかもしれませんが、自社の技術と営業力で仕事を取ってこれる工務店はハウスメーカーの下請けにはなりません。
自社で仕事を受注できないためにハウスメーカーの下請けになるのです。
こういった工務店は「○○ハウス」という名刺と、自社の「△△工務店」という名刺を使い分けています。


50年保証といった長期の保証をうたっているところもありますが、10年間の構造躯体と雨漏り以外は、全て有料となり、修理の実費等がかかります。
10年目以降も無料ではなく更新料がきっちりとかかります。
地元の工務店では、わざわざ50年保証と宣伝することはありませんが、一声かけさえすればこまめにメンテを引き受けてくれます。


大きい会社ほど都合が悪くなると、転勤という名目で担当者が変わってしまうことも多々ありますので、大手だから安心と思わず、必ずメモを取っておくことが大切です。


それから、銀行からの借り入れの手続きはくれぐれもご自身でなさって下さい。
ハウスメーカーに任せてしまうと、それ以降、値引き交渉はうまくいかなくなりますので。

5.建売住宅を購入する

依頼先というわけはありませんが、購入先としては建売住宅という選択肢もあります。
できているものを買うわけですから、気に入れば一番割安に住まいを手に入れることができます。


しかし、できあがってしまってからでは、我々のような専門家でもこの家が構造的に大丈夫なのか、断熱的に問題ないのか、壁を全部はがしてみないとチェックすることはできません。
役所が発行する「確認済証」や「検査済証」といったお墨付きがあったとしても、役所は構造的・断熱的なチェックをしているわけではないということを覚えておいて下さい。


建売住宅というのは、土地を購入した不動産会社などが、できるだけ安く上物を工務店につくらせます。
上物をつくった工務店はその建売住宅が売れなければ工事費を受け取れないことが多いため、とにかく早くつくって売りに出さなければ、職人への手間賃の支払いや資材購入の金利などでどんどん赤字が膨らんでいきます。
とにかくスピードが至上命題です。いいものをつくろうと考えている暇はありません。
顔の見える施主のために価格以上のものをつくろうというまっとうな家づくりとは正反対に位置するものです。


でも、土地の購入から検討される方には、初期費用が安いことは確かです。